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最高裁判所第二小法廷 昭和27年(あ)2151号 判決 1953年10月16日

本籍

長崎県北高来郡古賀村中里名二三八六番地

住居

前同所

製材職人

森信義

昭和六年三月一四日生

右の者に対する窃盗被告事件について昭和二六年一〇月一三日福岡高等裁判所の言渡した判決に対し福岡高等検察庁検事長山井浩から上告受理の申立があり、当裁判所はこれを受理したので次のとおり判決する。

主文

原判決を棄却する。

本件を福岡高等裁判所に差戻す。

理由

福岡高等検察庁検事長山井浩の上告趣意(受理の申立)について。

被告人は昭和六年三月十四日生れであることは原判決の確定するところであるから本件起訴(昭和二五年一二月一五日)の当時においては被告人は、既に満十八歳を超え、その当時の少年法六八条一項の規定により少年法の適用から除外されていたものであつたことはあきらかである。とすれば、検察官が少年法に依拠することなく、本件公訴事実につき直ちに長崎地方裁判所大村支部に公訴を提起したのは適法である。(昭和二七年(あ)第二五〇八号同年六月四日第一小法廷判決参照)原判決が被告人の出生年月日を前記のごとく確定しながら本件公訴を不適法なものとして棄却したのは畢竟法令の解釈を誤つたものというの外なく本件上告受理の申立は理由あり原判決は刑訴四一四条三九七条により破棄を免れない。

よつて、全裁判官一致の意見により同法四一三条を適用し主文のとおり判決する。

検察官 福原忠男出席

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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